モデル事業の概要

目的

日本では、年間で37万人もの人が癌で命を落としています。
そのうち、約5万人を占めるのが胃癌です。

胃癌の原因として考えられているものの一つにヘリコバクター・ピロリによる感染が挙げられます。
胃の粘膜に感染したヘリコバクター・ピロリは長い時間をかけ、胃癌を引き起こしていきます。

そのため、若年の感染者はいわゆる「未病」の状態であり、この段階で除菌治療を行えば胃癌の発生を減らすことが見込まれます。

今回、神奈川県内で3000人の大学生を対象としたピロリ菌検査のプロジェクトを実施しました。
今後、神奈川県内で9万人規模まで拡大し、最終的にピロリ菌を撲滅することを目標としています。


方法

今回、大学新入生を対象にピロリ感染症対策事業を行いました。

①オリエンテーション

概要説明・説明同意文書、事業パンフレットの配布

②4月の検診

尿検体番号とメールアドレスの入力、同意書の提出

③結果通知(メール)・アンケート

リンクから専用サイトでアンケートに回答

④病院受診・除菌(陽性の場合)

便ピロリ菌検査での確認、薬剤内服での除菌治療、除菌前後でのアンケート調査


事業で用いたシステムと啓蒙活動について

結果通知システム「HPExam」の作成

今回の事業では専用ソフトウェアを作製して被験者登録と被験者への結果通知、被験者の(性別、年齢等)特徴量分析を行いました。
また、独自のアンケートサイトを設営して意識調査を行いました。
専用ソフトウェアは健診会場に設営されたオフラインのPC上で動作し、被験者のメールアドレス、性別、年齢、被験者番号の情報の対照表を独自の形式で保存します。
このソフトウェアの作成により、 研究を担当した医師も含めて 全ての担当者が被験者の個人情報と検査結果を同時に知ることができなくなり、被験者のプライバシーの保護レベル向上を実現しました。
横浜国立大学、横浜市立大学当局のご協力を得て今回研究を実施させていただくにあたっての要件であった個人情報保護の仕組みの確保を実現し、事業の実現に寄与しました。

ピロリ菌についての啓蒙活動


執筆者:今井 明日香 宮原 七々夏(横浜市立大学 漫画研究会)

健診会場では、健診の目的と参加方法について文書、口頭での説明を行ったほか、検査の手順や意義を漫画にしてパンフレットに掲載し、ピロリ菌の検査や除菌について理解を深めてもらう活動を行いました。